日本では食品衛生法などに食用塩の品質規格は定められていませんが、イギリスやアメリカなどでは品質規格が設けられている例も見られます。
一方でCODEXは、消費者の健康と国際貿易における食品の円滑かつ公正な取引を保証することを主要目的に、各種食品について国際規格の検討を行っており、食用塩についても規格が定められています。
世界の食用塩は高純度で低水分の塩が主流となっていて、添加物が加えられているものも多くあります。
塩を湿気の多いところに長い時間置いておくと、結晶同士がくっついて固まった状態(固結状態)になることがあります。
これには塩が、ある相対湿度以上では水分を吸い込み(吸湿)、それ以下では塩の結晶の周りについている水分を空気中に出す(放湿)という性質が関係しています。
塩を湿気の多い所に置いておくと、空気中の水分が塩の結晶表面にごくわずかに付着するようになります。そしてこのわずかな水分は塩の表面を溶かし、飽和塩水の状態になっています。
塩の臨界湿度は相対湿度で約75%で、塩に接する空気中の相対湿度が75%以上であれば、空気中の水分を吸収し結晶表面に付着する水分量が増加して、さらに塩の表面が溶ける状態になります。また反対に、空気中の相対湿度が75%以下であれば、塩の結晶表面の飽和塩水から水分が蒸発して乾燥するため、結晶表面に微小の塩結晶が析出するようになります。
空気中の湿度は、季節により、また一日の間でも変化しますから、塩の表面では空気中の水分を吸収して塩が溶ける状態と、水分が蒸発して乾燥する状態が反復して起きるようになります。この状態が繰り返し起きると、塩の結晶同士が微小の塩でつながった状態(架橋状態)になり、固結するようになります。
この固結状態は塩だけではなく、砂糖など水溶性の性質を持つ様々な物で起こりますが、容器の蓋をしっかりとしておく、温度変化の少ない所に保存するなどで、ある程度防ぐことができます。
臨界湿度:空気中の水分が塩に吸収されるのと、塩から水分が蒸発するのがつり合う湿度。塩では温度が変わっても臨界湿度はほとんど変化しません。
固結を防止あるいは緩和するために、いくつかの添加物が防止剤として使用されることがあり、日本では主に以下の添加物が用いられています。