塩風土記
塩風土記
■岡山県と塩■
瀬戸内海に面し、「晴れの国」(降水量1mm未満の日数が全国第1位)である岡山県は、その名の通り雨が少なく、温暖で製塩に向く気候と地形を持つ県である。製塩は弥生時代中期頃に始まり盛んに行われていた。瀬戸内で最古の製塩土器も出土している。
1800年代には塩田王と呼ばれた野﨑武左衛門により、大規模な塩田事業が起こり、瀬戸内海沿岸地域の十州塩に名を連ねた。
【人物】
野﨑武左衛門(のざきぶざえもん)
江戸後期、児島湾一帯に大規模な塩田を築き、塩田王と呼ばれる。
本姓は昆陽野。足袋製造販売で資金を蓄え、1827年(文政10年)に味野・赤崎の海岸などを開墾し塩田経営を行った。塩田王と称せられ、その事業は現在のナイカイ塩業株式会社に引き継がれている。居宅は現在、野﨑家旧宅として一般公開されている。
(多和和彦『児島の歴史』)
春藤武平(しゅんどうぶへい)
天日塩製法を研究し、明治末期に台湾の天日製塩からヒントをえて枝条架式流下塩田を開発した。枝条架式流下塩田の導入により、いままでの入浜式塩田と比べ、生産量は約3倍に増加し、労力は1/10程度にまで削減されたという。
(多和和彦『児島の歴史』)
【名所・史跡】
師楽式製塩土器(しらくしきせいえんどき)
弥生時代から平安時代にかけてのものとみられる製塩土器。主に瀬戸内海の沿岸部を中心に分布している。岡山県南東部、牛窓町師楽にちなむ命名。
(近藤義郎『歴史研究第223号』)
味野専売局山田出張所(玉野市)
約100年前に建築された旧大蔵省の味野専売局山田出張所とその文書庫。塩専売時代の庁舎と文書庫がそろって現存する例は珍しい。現在は、市が所有する施設となっているが、老朽化が激しく有志による保存運動が行われている。
(玉野市 商工観光課)
【名産品】
ままかり漬け
ままかりという小魚を塩でしめた後、酢漬けにしたもの。ご飯(まま)をかりてくるほど美味しいということからこの名がついた。これを酢飯にのせたままかり寿司も有名。
【学びの場】
野﨑家塩業歴史館(倉敷市)
江戸時代に塩田を開発し、現在も塩をつくり続けている野﨑家の旧宅。3000坪の敷地すべてが岡山県の史跡に指定されている。
敷地内にある蔵のひとつが塩業資料の展示館になっており、塩づくりについても学べるほか、近世後期の建築技術の粋を集めた建物もみどころ。予約をすれば、塩つくり体験も可能。
岡山県立吉備路郷土館(総社市)
吉備路風土記の丘自然公園内にある考古資料館。復元された製塩土器等、吉備路で発掘された遺跡に関する資料が展示されている。

