性質

性質

塩には、塩辛いだけでなく様々な性質があります。ここでは塩の主な性質を見てみましよう。

化学式

「NaCl」塩はナトリウムイオンと塩素イオンが電気的に結合した塩化ナトリウムです。分子量は、58.43です。

虫メガネで見ると分かる。塩の結晶の基本形は、サイコロの形の正六面体です。また、つくり方によって、他の形もできます。
[結晶の形]
塩の結晶を虫眼鏡などで拡大してみると、サイコロ状の正六面体をしていることが分かります。これは塩を構成するナトリウムイオンと塩素イオンが電気的に結合して、イオン同士の結合力がどの方向にも等しく働くために、整った形になるからです。

大規模な蒸発装置で塩を製造すると、結晶は液中で成長して正六面体の結晶となりますが、液表面での水分蒸発が盛んな平釜のような装置で製造すると、結晶が液表面に浮かびながら成長するため、トレミー状と呼ばれる逆ピラミッド型の結晶ができることがあります。その他、製造法によって様々な形の塩を作ることができますが、これらも正六面体の結晶を基本として、結晶の成長方向が特殊になったものです。

[ 様々な形の塩の結晶 ]
サイコロ状 球状 トレミー状
サイコロ状球状トレミー状
フレーク状 柱状、針状  
フレーク状柱状、針状

潮解性

塩は湿度が75%以上になると空気中の湿気を吸ってベトベトする性質(潮解性)があります。この湿度75%が塩の臨界湿度です。

塩の結晶は、無色透明。白く見えるのは、光の乱反射のせいです。

沸点

沸点は約1,400度。それ以上になると沸騰して気体になります。

融点

800度以上になると、溶けて液体になります。

硬度

塩の硬さは石こうと同じくらい。(モース硬度で2.0~2.5)鍋やコップを磨くこともできます。

硬度とは物体の硬い軟らかいの程度を示すもので、いろいろな測定方法や表し方があり、このうちよく使われる硬度の表し方に「モース硬度」があります。これは一番軟らかい鉱物として滑石、一番硬い鉱物としてダイヤモンド、そしてその間に他の8種類の鉱物の硬さを標準とする硬度の表し方で、硬いもので軟らかいものひっかくと軟らかい方に傷が付き、逆に軟らかい方で硬いものをこすっても硬い方には何の変化もないことを利用したものです。

このモース硬度では、塩は2~2.5、石膏と方解石の中間の硬さを示します。このモース硬度を考案したモースは、19世紀初頭のドイツの鉱物学者です。

[モース硬度一覧表]
硬度鉱物名
1滑石
2石膏
3方解石
4ホタル石
5リン灰石
6正長石
7石英
8トパーズ
9コランダム
10ダイヤモンド

比重

比重は2.16。ただし、サラサラした塩の、みかけの比重は食塩で約1.2です。

塩の結晶の比重は2.16です。体積が1立方cmの塩の結晶があったとすると、この塩の結晶の重さは、1立方cmの4℃の水の重さの2.16倍、つまり2.16gになります。しかし普段感じる塩の重さはこれよりもずっと軽いものです。
塩はたくさんの結晶が集まった粉体ですから、結晶と結晶の間にすき間ができます。スプーン1杯の塩を量り取るときには、このすき間もいっしょにはかっていますから、同じ体積の塩と言っても、結晶だけのときに比べて軽く感じるわけです。
このように、結晶と結晶の間のすき間がある時の比重は、結晶自体の比重より小さくなり、これを「見かけ比重」と呼びます。この見かけ比重は、塩の詰まり具合によって変化しますが、容器に固く詰めた時を「かため比重」、容器に軽く詰めた時を「ゆるみ比重」と呼びます。
また乾燥してサラサラの塩や粒径の小さな塩は見かけ比重が大きく、湿った塩では小さくなるという性質がありますから、同じスプーン1杯の塩でも、湿った塩ではサラサラの塩に比べて量が少なめになります。

ゆるみ比重 かため比重
容器に軽く塩を詰めると、塩と塩の空間が多い。
見かけ比重が小さい(ゆるみ比重)
容器に固く塩を詰めると、塩と塩の空間が少ない。
見かけ比重が大きい(かため比重)
[主な塩の見かけ比重]
単位:g/立方cm ゆるみ比重 かため比重
並塩1.021.22
食塩1.291.37
新家庭塩0.891.36
精製塩1.331.37
[スプーン一杯の塩は何グラム?]
粉状の調味料を計量スプーンで量り取るときは、その調味料の見かけ比重が影響します。見かけ比重が小さければ同じ一杯でも少なくなります。
ですから、食塩や精製塩などのサラサラした塩は、小さじ一杯で約6g、しっとりした塩は小さじ一杯で約5gとなります。(五訂食品成分表から)

主な塩の見かけ比重 小さじ(5cc ) 大さじ(15cc)
618
さらさらした塩(食塩・精製塩など)
しっとりした塩515
上白糖39
グラニュー糖412
小麦粉39
うま味調味料412


氷点

濃い塩水は、約-20度まで凍りません。この性質を利用して、路面凍結防止に役立てています。

通常、水は0度で氷になりますが、塩の水溶液は0度では凍らずに、それ以下の温度になって凍るようになります。氷になる温度、これを氷点といいますが、この氷点が低下することを氷点降下といいます。塩の水溶液では、濃度が高くなるとともに氷点降下が大きくなり、飽和の塩の水溶液では、-21.3度まで凍りません。この塩の氷点降下を利用して、冬期の道路融氷雪剤として、また遠洋漁業での魚の冷凍に塩が使われています。

塩水の氷点は濃度によって次のように変化します。

浸透・脱水

塩には水分を取り除く浸透脱水作用があります。2%以上の濃度の食塩水は、野菜から水を吸い出すことができます。

「青菜に塩」という諺があるように、野菜を塩もみすると野菜から水分が抜けてしおれたように柔らかくなります。これは塩の持つ浸透と脱水の作用によって起こります。野菜の浸透圧は下の表から分かるように、10atm以下のものがほとんどです。一方、塩水の浸透圧は濃度2%ですと17atmなので、この濃度以上の塩水に野菜を漬けると、浸透圧の差によって野菜の細胞内の水分は半透膜と同じ半透性の性質を持つ細胞膜を通って細胞の外に引き出されて脱水されます。そして野菜の細胞の状態が変化し、細胞膜の半透性も失われ、塩分やその他の成分の自由な浸透が起こるようになります。漬物ではその後、乳酸菌発酵の助けを借りて特有の風味が生まれます。

野菜の浸透圧
野菜 浸透圧(atm)
白菜4.81
キャベツ8.53
ネギ9.60
大根6.90
ニンジン14.36
タマネギ8.91
キュウリ6.23
ナス7.23
     塩水が15度の場合の浸透圧

【浸透圧とは】
濃い塩水と水を半透膜によって隔てると、水は半透膜を通過して塩水側に移動しようとします。これを浸透現象といいますが、この時の水が移動しようとする力に相当する圧力を浸透圧といいます。


水は半透膜を通過して塩水側に移動するため、塩水の液面が高くなります。塩水側に圧力をかけると液面は同じになりますが、この時の圧力が浸透圧です。

この浸透現象は塩の他に、糖類、アルコール類など様々な物で見られますが、浸透圧を同じ10%の濃度の水溶液で比較すると、塩は大きな浸透圧を持つことが分かります。

  食塩 砂糖 ブドウ糖 アルコール
浸透圧
kg/cm2
70.6 7.75 14.7 59.9
この塩の浸透圧は、漬物や食品加工、また人体の中で大きな役割を果たしています。

塩水のpH

不純物を含まない塩の水溶液は中性でpHは7ですが、塩の種類などによってわずかに変化する場合があり、食塩では7~9のpHを示します。
注)pHとは水溶液の酸性、アルカリ性を、0~14の範囲で表す物差しです。pHが0~7の状態が酸性で、7~14の状態がアルカリ性、7付近が中性の状態を表します。

塩の溶解度

塩の溶解度は水の温度にほとんど影響を受けず、1リットルの水には約300g溶けます。

ある物がその他の物、例えば水などに溶けている時、水に溶けている量の程度を濃度といいます。そして濃度が高くなって、もうこれ以上溶けない状態の溶液を飽和溶液、この時の濃度を溶解度と言います。溶解度が温度によって変化する物質が多いのですが、塩は次のように温度によって溶解度がほとんど変化しません。

塩の溶解度(飽和溶液100g中)
温度(℃) (g)
026.28
1026.32
2026.39
3026.51
4026.68
5026.86
6027.07
8027.55
10028.15

他の物の溶解度と比較すると次のようになります。