研究報告

平成16年度研究報告

海水総合研究所 研究報告 第6号(2004)

題目 研究者 掲載頁
1 市販食塩の品質(Ⅱ) 新野 靖、
西村 ひとみ、
古賀 明洋、
中山 由佳、
P1
2 蛍光X線分析装置を用いる塩製品中の微量元素の簡易分析の可能性 眞壁 優美、
吉川 直人
P15
3 イミノ二酢酸キレートディスク予備濃縮/プラズマ発光分光分析法による塩中の微量金属の定量 新野 靖、
古賀 明洋
P20
4 製塩における晶析技術の研究と開発動向 長谷川 正巳 P28
5 赤外線吸収スペクトル解析による塩の水分、平均粒径およびマグネシウムイオン濃度の同時測定法の検討 正岡 功士、
長谷川 正巳
P32
6 イオン交換膜法かん水の濃縮特性 正岡 功士、
加留部 智彦、
中村 彰夫、
篠原 富男
P37
7 食塩の吸湿固結防止法の検討 党 弘之、
鴨志田 智之、
篠原 富男
P45
8 中国井鉱塩工業に関する調査報告 長谷川 正巳 P51
9 平成15年度海外研修報告
-アメリカ及びメキシコ視察に参加して-
野田 寧 P55

研究報告要旨

No.1
題目 市販食塩の品質(Ⅱ)
筆者 新野 靖、西村 ひとみ、古賀 明洋、中山 由佳、芳賀 麻衣子
掲載頁 P1
投稿先 日本調理学会誌 36(3)、p305(2003)
要旨
市販食用塩の主成分、微量成分、添加物および生菌の調査を行い、以下の結果を得た。
(1)
国産製品は、輸入製品に比べてにがりを多く含んだ製品が多く、不溶解分が少ない傾向が見られた。輸入された天日塩製品の中には不溶解分および重金属が多いものが見られた。
(2)
ヒ素が0.5mg/kg(CODEX 食用塩規格(案)上限値)以上検出された製品が3点見られた他、銅,クロム,ニッケル,亜鉛が高濃度に検出された製品も見られた。
(3)
生菌検査では、測定試料全てが陰性であった。
(4)
フェロシアン化物が検出された製品は4点あった。
No.2
題目 蛍光X線分析装置を用いる塩製品中の微量元素の簡易分析の可能性
筆者 眞壁 優美、吉川 直人
掲載頁 P15
投稿先 日本海水学会誌 58(1)、p80(2004)
要旨
波長分散型およびエネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いて、塩製品中の主要成分(Mg2+,SO42-,K+,Ca2+,Br-)の簡易定量の可能性および定量精度について検討した。試料調整法についてはMg2+は、Mg(OH)2沈殿を用いた沈殿法、SO42-は、BaSO4沈殿を用いた沈殿法、K+,Ca2+,Br-は、点滴濾紙法および液体法を用いた。その結果、液体法を用いた場合と比較し点滴濾紙法を用いた場合の方が、測定精度は良好で、低い成分含有量まで定量可能であることが示唆された。沈殿法では、測定精度が試料調整操作に依存することが分かった。また、Mg2+,SO42-については沈殿法、K+,Ca2+,Br-については点滴濾紙法を用いた場合の 結果を基に、塩製品への適用の可能性を判断した。エネルギー分散型を用いた場合と比較し、波長分散型を用いた場合の方が、低い成分含有量まで定量可能であり、高純度塩ではSO42-、乾燥塩ではMg2+,SO42-およびBr-、湿塩では全ての対象成分について定量可能であることが示唆された。
No.3
題目 イミノ二酢酸キレートディスク予備濃縮/プラズマ発光分光分析法による塩中の微量金属の定量
筆者 新野 靖、古賀 明洋
掲載頁 P20
投稿先 日本海水学会誌 58(1)、p85(2004)
要旨
塩中の微量金属元素(Al,Cd,Co,Cu,Fe,Mn,Mo,Ni,Pb,Ti,V,Znの12元素)をイミノ二酢酸キレートディスクで濃縮し、硝酸で溶離して ICP-AES法で定量する条件を検討し、得られた条件で市販食用塩中の微量金属元素を定量した。その結果、12元素を水溶液中から同時回収できる処理条件はpH4.5であったが、この条件下では塩中のマトリックス成分(NaCl,Ca,Mg)の影響を受け、回収率が低下する元素(Cd,Mn,Pb)があった。これらの元素はpH8.8で処理することによりマトリックス成分の影響を受けずに濃縮が可能であった。本法の定量下限は、塩試料50gを処理した場合、感度が低いAl,Pbを除いて5μg/kgであり、また、2μg添加試料を繰返し処理した時の変動係数は5%以下と良好であった。本試験で得られた測定条件を用いて市販食用塩中の微量金属元素を測定した結果、多くの元素の定量が可能となり、異なるpH(4.5,8.8)で定量した元素(Cu,Ni,Fe,Ti,Zn)の定量値はよく一致し、また、高濃度の元素は、ICP-AESによる直接分析結果とよく一致した。
No.4
題目 製塩における晶析技術の研究と開発動向
筆者 長谷川 正巳
掲載頁 P28
投稿先 日本海水学会誌 57(4)、p256(2003)
要旨
製塩における晶析技術の研究、開発動向に関して、当研究所で実施してきたこれまでの晶析研究を紹介した。また、今後の研究の展開として、粒径動的制御、不純物によるNaCl結晶成長への影響についても、研究の方向性を示した。
No.5
題目 赤外線吸収スペクトル解析による塩の水分、平均粒径およびマグネシウムイオン濃度の同時測定法の検討
筆者 正岡 功士、長谷川 正巳
掲載頁 P32
要旨
塩の水分、マグネシウムイオン濃度および平均粒径の同時測定法を開発することを目的として、赤外線吸収スペクトルから各物性と吸光度との関係を検討した。その結果、各物性が変化することにより吸光度が変化した。何れの物性が変化した場合にもスペクトルを測定した全波長範囲で吸光度変化が見られ、その寄与率は波長によって異なった。測定される吸光度はそれらを全て加算したものであることから、寄与率が大きく異なる複数の波長の吸光度を測定して、測定する物性以外の寄与を計算上分離することで、平均粒径、水分およびマグネシウムイオン濃度が同時に測定できると考えられた。
No.6
題目 イオン交換膜法かん水の濃縮特性
筆者 正岡 功士、加留部 智彦、中村 彰夫、篠原 富男
掲載頁 P37
要旨
ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、塩化物、臭化物および硫酸イオンを対象に、現状のイオン交換膜かん水相当の組成をもつ、モデルかん水および濃縮液を調製し、濃縮過程における溶解平衡データを測定した。
得られた結果を解析し、純塩率87~93%、濃縮温度50~90℃の範囲でイオン交換膜かん水濃縮液中の塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、臭化マグネシウム濃度をモデル化した。モデルは製塩工場の晶析装置内溶液の組成を良好に再現した。
No.7
題目 食塩の吸湿固結防止法の検討
筆者 党 弘之、鴨志田 智之、篠原 富男
掲載頁 P45
要旨
食塩の吸湿固結原因の究明と固結防止法の確立を目的に検討を行った。吸湿固結には結晶表面に付着した共存成分組成と初期水分が影響し、乾燥塩において結晶表面のKCl/MgCl2値が小さい場合におこることを明らかにした。そこで、遠心分離時に苦汁を添加することによって結晶表面のKCl/MgCl2値を調製する固結防止法を検討し、その有効性を確認した。
No.8
題目 中国井鉱塩工業に関する調査報告
筆者 長谷川 正巳
掲載頁 P51
要旨
2003年10月、中国自貢市軽工業設計研究院の招請を受けて講演した中国井鉱塩技術セミナーについて、また、製塩プラント2社と設計研究院に関する情報について紹介した。
No.9
題目 平成15年度海外研修報告-アメリカ及びメキシコ視察に参加して-
筆者 野田 寧
掲載頁 P55
要旨
平成16年1月31日から2月9日の平成15年度海外研修において、米国カーギル社およびメキシコESSA(Exportadora de Sal, S.A. de C.V.)社を見学し、その概要について紹介した。