電子線グラフト重合法によるポリエチレン基材製塩用イオン交換膜の製造(その4)<br>-ジアミン架橋剤を用いた1価イオン選択透過性能の付与-
研究業績

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題名
電子線グラフト重合法によるポリエチレン基材製塩用イオン交換膜の製造(その4)
-ジアミン架橋剤を用いた1価イオン選択透過性能の付与-
著者
高橋 沙季、佐々木 貴明、永谷 剛、田柳 順一* *:AGEC
掲載先
日本海水学会誌、75、145-152 (2021)
概要

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を基材に用いて、電子線グラフト重合法を適用し、製塩用陰イオン交換膜を作製した。陰イオン交換膜の作製経路は(1)UHMWPEへの電子線照射、(2)クロロメチルスチレン(CMS)をモノマーとして用いたグラフト重合、(3)N,N,N',N'-テトラメチル-1,2-エチレンジアミン(TMEDA)、 N,N,N',N'-テトラメチル-1,4-ブタンジアミン(TMBDA)およびN,N,N',N'-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン(TMHDA)によるジアミン架橋処理、および(4)トリメチルアミン水溶液に重合膜を浸漬することによる陰イオン交換基の導入、の4工程からなる。得られた陰イオン交換膜におけるジアミン架橋処理層は、いずれのジアミン架橋剤を使用した場合においても、陰イオン交換膜の膜表面のみに導入されていたが、ジアミン架橋剤の分子量が大きいほど、架橋処理層は薄く、局在化していた。本研究で作製した陰イオン交換膜を、製塩用陽イオン交換膜SELEMION®CSOと対にして電気透析槽に設置し、0.025 mol/L Na2SO4を含む0.5 mol/L NaCl水溶液を供給液とし、1価イオン選択透過性能および濃縮性能を評価した。ジアミン架橋剤の分子量が大きいほど、高い1価イオン選択透過性能を示し、分子量が最大であるTMHDAを使用した場合、製塩用陰イオン交換膜SELEMION®ASAと同等な1価イオン選択透過性能を示した。また、濃縮性能は、ジアミン架橋剤の種類によらず同程度であり、SELEMION®ASAの性能とも同等であった。

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