電子線グラフト重合法によるイオン交換膜の開発(第2報)-電子線グラフト重合法におけるラジカル挙動の評価-
研究業績

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題名
電子線グラフト重合法によるイオン交換膜の開発(第2報)-電子線グラフト重合法におけるラジカル挙動の評価-
著者
佐々木 貴明、永谷 剛、高橋 沙季、田柳 順一* *:AGEC
掲載先
日本海水学会誌、75、26-32(2021)
概要

電子線グラフト重合におけるポリエチレンフィルム中のラジカル挙動について評価した。ポリエチレンフィルムには、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、およびLDPE含有HDPEの4種類を選定した。これらのポリエチレンフィルムに電子線を照射し、発生するラジカルの濃度を定量した。すべてのポリエチレンフィルムにおいて、電子線照射量の増加にともないラジカル濃度は増加した。同一照射量におけるラジカル濃度はUHMWPE > HDPE > LDPE含有HDPE > LDPEの順に高い値を示し、結晶化度が高いほど高い傾向を示した。ポリエチレンフィルムに電子線を照射してグラフト重合をおこなった。ラジカル濃度の増加にともないグラフト率は増加した。また、ラジカル濃度とグラフト率との関係はポリエチレンフィルムの結晶化度によらず同様の傾向を示した。発生するラジカルの濃度を制御することにより、グラフト率を制御可能であることが明らかになった。電子線を照射したポリエチレンフィルムを-80~20℃の大気中で保管した。20℃では、すべてのポリエチレンフィルムにおいて、時間の経過とともにラジカル濃度は減少した。保管時間6時間におけるラジカルの残存率はUHMWPE > HDPE ≧ LDPE含有HDPE > LDPEとなり、結晶化度が高いほど減少速度は抑制された。-80℃では、照射して24日経過後においても、照射直後と同程度のラジカル濃度であり、長期保管できることが明らかになった。

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