電子線グラフト重合法によるポリエチレン基材製塩用イオン交換膜の製造(その3)1価イオン選択透過性能をもつ陰イオン交換膜
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題名
電子線グラフト重合法によるポリエチレン基材製塩用イオン交換膜の製造(その3)1価イオン選択透過性能をもつ陰イオン交換膜
著者
永谷 剛、佐々木 貴明、斎藤 恭一*  *:千葉大学
掲載先
膜、43、231-237 (2018)
概要

超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)フィルムを基材に用いて,N,N,N',N'-テトラメチル-1,6-ヘキサンジアミン(TMHDA)を選択処理剤として選定し,電子線グラフト重合法を用いて,1価イオン透過性処理性能を有する製塩用陰イオン交換膜を作製した.ポリエチレンフィルムに電子線を照射した後,クロロメチルスチレン(CMS)のキシレン溶液に浸漬させて,CMSグラフト重合膜を得た.引き続き,TMHDAメタノール溶液に浸漬させることによって,膜表面に1価イオン透過性処理層を付与したのち,トリメチルアミン水溶液に浸漬させることによって,膜に4級アンモニウム基を導入した.
本研究で作製した陰イオン交換膜を現行の陽イオン交換膜Selemion®CSOとペアにして電気透析槽に設置して,海水濃縮性能および選択処理性能を評価した.UHMWPEベース陰イオン交換膜のグラフト率を50%以上にすることにより,現行の陰イオン交換膜Selemion®ASAと同程度の膜抵抗および1価イオン透過性処理性能を示す膜が得られた.また,Selemion®ASAと同程度の2価イオン難透過性処理性能を示すUHMWPEベース陰イオン交換膜の濃縮性能はSelemion®ASAよりも高い濃縮性能を示し,膜の電気抵抗が同一である条件において,かん水濃度はSelemion® ASAのそれより5~10 %高かった.

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