ここで、現代的な「コントロール」を理解する手がかりとして、20世紀末に進展した「BT(バイオ・テクノロジー)革命」に注目してみましょう。「体細胞クローン技術」、「ヒトES細胞の樹立」、「ヒトゲノム計画の完了」といった遺伝子工学の発展によって、遺伝情報の読みとりや人間に対する遺伝子操作が現実化し始めたことは、ご存知だと思います。
たとえば、人間の寿命を延ばしたり、生まれつきの遺伝病を治療したりすることも可能になる、と予想されています。他人から臓器を提供してもらわなくとも、自分の体細胞を使って拒絶反応のない臓器がつくりだせるかもしれない、と期待されています。
それだけにはとどまりません。業界の宣伝によれば、受精卵の段階で、遺伝子を付加したり、改変することによって、生まれてくる子どものスタイルを良くしたり、美人の子どもをつくることも可能になります。あるいは、運動能力や知的能力を高めたり、芸術的才能を生みだすこともできるのです。
現在は美容整形が流行していますが、そのうち人々は受精卵の段階で遺伝子を組み換え、美容的な治療を施すかもしれません。遺伝子を改変してIQの高い子どもを生めば、苦労して塾に行かせる必要もなくなるでしょう。現在の状況から考えると夢のような話ですが、BT革命はこの方向を明示しているのではないでしょうか。 |