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ここで注意が必要なのは、こうした宮崎と押井の"上昇"が、日本のアニメ全体からみたら、特異な事例だということである。日本のアニメのメインストリームはむしろ、『美少女戦士セーラームーン』『新世紀エヴァンゲリオン』、さらには、新世紀に入って急増したいわゆる"萌えアニメ"へと、おたく好みなキャラクターデザインをより先鋭化させる方向をたどった(図3)。『ナウシカ』や『うる星やつら』がつくられた80年代半ばまでは、宮崎・押井アニメも含めてアニメの文化的ポジションに一種のまとまり感があったのに対し、現今では、一方でアカデミー賞をとるような作品が出現し、他方ではおたく好みに特化した深夜枠の"萌えアニメ"が増加するという、分化した状態になっている。

図3 アニメの変遷に見る上昇志向と下方指向
| 出典: |
(上段左より)「風の谷のナウシカ」「攻殻機動隊」 「となりのトトロ」「千と千尋の神隠し」 |
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(下段左より)「うる星やつら2ビューティフル・ドリーマー」「美少女戦士セーラームーン」
「新世紀エヴァンゲリオン劇場版シト新生」「Kanon」 |
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宮崎・押井に代表されるベクトルを"上昇"とするならば、メインストリームがたどったベクトルは、"下降"ということになろうか。おそらくは表裏一体の両傾向の関係性については、次回、焦点を合わせてみたい。
第5回(最終回) 「〈おたく〉という概念(後編)」に続く
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