塩の味力
広島(尾道)・鯛の浜焼き

古い町並みと細い路地が連なり、瀬戸内の風情が今も残る広島県尾道市は北前船の寄港地として栄えた港町でした。積み出される名産品の中に、酢、綿とならび周囲で生産された塩がありました。
300年ほど前、海水を煮詰めて製塩する人々の間で、塩釜から取り出した熱い塩の中に、浜で取れた魚などを入れて蒸し焼きにしたものが、尾道の名物として今も受け継がれている「浜焼き」の始まりと言われています。
日持ちのする「浜焼き」はそのおいしさと保存性のよさから、藩主に献上されたり、他国への贈答品として珍重されました。こうした経緯からでしょうか、「浜焼き」として使われるのはもっぱら鯛です。「浜焼き」は主に4~5月に生産されるのですが、この時期の鯛を「桜鯛」と呼び、漁獲高も多くなります。
昔は産卵期を迎えた魚が海が盛り上がるほど寄り集まり「魚島(うおしま)」ができた、と言われます。塩釜で蒸し焼きにすることで保存性を高め、たくさん取れる魚をむだにすることなくいただくために考え出された調理法ではないでしょうか。
現在では熱い塩の中に放り込む製法はほとんど見られませんが、地元で工夫された製法で受け継がれています。えらと内臓をとっただけの鯛に塩をして2~3時間、炭火で1時間かけて焼かれた鯛は香ばしく、絶品です。
| 1~2kgの鯛に100g強の塩をして2時間半、独特の網に入れ、遠火の炭火で片面23分、返して20分焼く。その後、釜の上段に移し、23分いぶす。1 時間ほど冷ましてから包装し、伝八傘に包まれる。通常は4~5月の販売だが、それ以外でも注文に応じてくれる。通販での購入が可能。1kg程度の浜焼き(伝八笠入り)で10,000円~。箱入りで6,500円~。黒鯛(チヌ)で2,500円~。賞味期間は常温で4日
注文・販売に関するお問い合わせ: 「おのみち発 北前船の贈り物」 URL: http://www.rakuten.co.jp/onomichi/1195575/ マルキン有限会社 広島県尾道市東尾道6-6 TEL:0848-20-3300 |
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取材に協力いただいた製造元の有限会社大福・3代目・大福大祐社長。有限会社大福で浜焼きされる鯛は主に色がきれいな地元産・天然鯛のメス。独特の浜焼きの製法は先々代が考案したもの。現在、尾道では炭火で浜焼きをしているのは2店のみ。予約のみで販売されている。浜焼きを包む伝八笠は専用に作られており、笠作りの後継者はいないという。
有限会社大福 広島県尾道市土堂1-13-7 Fax:0848-22-2296 |
NHKきょうの料理テキスト 2006年9月号PRページより

