塩の味力

沖縄(那覇)・スーチカ

沖縄(那覇)・スーチカ

沖縄では、お祝いの席などに必ず用意されるのが豚肉料理。昔は豚が各家庭で飼育され、ことあるごとに調理されていた。しかし、さまざまな調理法を駆使するにしても、1頭まるまる食べてしまうのは難しい。
「泣き声以外はすべていただく」という沖縄の人にとって、冷蔵庫のなかった時代から貴重な豚肉を無駄なく利用するために生まれたのが皮付きの豚の三枚肉を塩漬けにした「スーチカ」ではないだろうか。古くはカメなどに保存した。現在では塩をして2~3日ほど冷蔵庫でねかしたものが店頭へ並ぶ。大きな肉屋さんでは一年中手に入る。夏場でも生のまま店頭に並べられているのをみると、塩の防腐作用を実感する。

食べ方は水からじっくり塩抜きをしながらゆでて冷まし、薄切りにしてフライパンなどで焼いて食べる。3~4度もゆでこぼし、しっかり塩抜きする家庭もあれば、1度のゆでこぼしでしっかりとした味付けを好むなど各家庭で好みの塩加減で調理される。

独特の熟成風味がする「スーチカ」の味は、皮付きの肉のためプリプリとした食感。薬味代わりの「コーレグースー」(沖縄の島唐辛子をいったん塩漬けし、その後泡盛に漬け込んだ辛い調味料)などを付けて食べる人も多い。
取材に協力してくれた「豊年」では、1度のゆでこぼし派。ゆでるときにたまねぎを一緒に入れることで、たまねぎの甘みを肉に移すという。ゆであがったら氷水にとる。こうすることでうまみを逃さないのが「豊年」の店主・比嘉家の伝統だという。

応用料理「スーチカの野菜炒め」

処理した「スーチカ」を拍子切りしてピーマン、たまねぎとともに炒める。
味付けは塩、コショウのみ。肉に塩味がついているので塩は控えめに。
酒のつまみとしても、ごはんのおかずとしても楽しめる。

美里和子さん 1年を通じて店頭に並ぶスーチカは、それぞれの店で塩加減、塩蔵時間に工夫がほどこされている。生のもので100g 100円から。1ブロックは約1kg程度。 ゆであげて包装したスーチカ(100g 300円)も販売中。通販での購入が可能。
美里精肉店
那覇市松尾2-10-1 牧志第一公設市場1F
TEL:098-867-3976 第4日曜休

比嘉トヨさん 牧志公設市場2Fで食堂「豊年」を営む比嘉トヨさん。この道23年、沖縄のお袋の味を提供している。「豊年」ではスーチカをゆでる時にたまねぎを入れ、冷水にとる。たまねぎの甘みを肉に移すのは比嘉家伝統の調理法。メニューにはないが、オーダーは可能。単品で700円。
豊年
那覇市松尾2-10-1 牧志第一公設市場2F
TEL:098-862-9164 第4日曜休 11:00~20:00

NHKきょうの料理テキスト 2006年6月号PRページより