投稿論文

平成22年度投稿論文

題目 研究者 発表先
1 ガスクロマトグラフィー/質量分析法による塩中の残留農薬等の一斉分析 野田 寧、
麻田 拓矢、
小林 憲正*
*:横浜国立大学
分析化学 59(7)、p.579-587(2010)
2 漬かること、漬物の栄養と家庭用塩の消費実態調査 眞壁 優美 漬物技術 第23号(2010)
3 Multiresidue Analysis for Agricultural Chemicals in Edible Salts by LC/MS 野田 寧、
麻田 拓矢、
小林 憲正*
*:横浜国立大学
日本海水学会誌 64(5)、p.275-283(2010)
4 高速液体クロマトグラフ-誘導結合プラズマ質量分析装置を使用した食用塩に含まれるヒ素の形態別分析法 古賀 明洋、
野田 寧
日本海水学会誌 64(5)、p.291-296(2010)
5 高速ろ過装置における至適操作条件設計法の検討 渕脇 哲司、
麻田 拓矢、
吉川 直人、
長谷川 正巳
日本海水学会誌 64(5)、p.305-312(2010)
6 イオン交換膜法かん水の濃縮過程における溶液物性推定モデルの検討 正岡 功士、
加留部 智彦、
中村 彰夫
日本海水学会誌 64(6)、p.343-352(2010)
7 漬物製造における脱水浸透挙動のモデル化(第1報) -カブを対象とした脱水浸透モデルの検討- 中山 由佳、
長谷川 正巳
日本海水学会誌 64(6)、p.355-359(2010)
8 塩化ナトリウム濃度による漬物の漬け上がりの推定 眞壁 優美 日本海水学会誌 65(1)、p.42-46(2011)

投稿論文概要

No.1
題目 ガスクロマトグラフィー/質量分析法による塩中の残留農薬等の一斉分析
筆者 野田 寧、麻田 拓矢、小林 憲正*   *:横浜国立大学
投稿先 分析化学 59(7)、p.579-587(2010)
概要
塩事業センターでは食品衛生法ポジティブリスト制度に対応して食用塩の安全性に関する116項目の農薬等を選定した。科学的な根拠により安全性を証明するために、これらに対する分析技術が必要となったため、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)を使用した一斉分析法の検討を行った。塩試料中の農薬等は固相抽出法により抽出した。4種類の固相抽出カラムを比較し、スチレン-ジビニルベンゼン共重合充填剤であるPS-2カラムを選択した。試料をメタノールと水の1:1混合溶液で溶解し、農薬等のガラス器具表面などへの吸着を防ぐことにより回収率が向上した。親水性の農薬等は回収率が低いため一斉分析法への適用ができなかった。開発した分析法では、94物質(85項目)の対象農薬等に対し、70%以上の回収率と20%以内の再現性が得られ、検出下限は0.01 mg/kg以下であった。
No.2
題目 漬かること、漬物の栄養と家庭用塩の消費実態調査
筆者 眞壁 優美
投稿先 漬物技術 第23号(2010)
概要
漬物における塩の役割、漬物の栄養、家庭における漬物との関わりについて述べた。(2010年3月16日開催「第19回漬物技術研究セミナー」発表議事録)
No.3
題目 Multiresidue Analysis for Agricultural Chemicals in Edible Salts by LC/MS
筆者 野田 寧、麻田 拓矢、小林 憲正*   *:横浜国立大学
投稿先 日本海水学会誌 64(5)、p.275-283(2010)
概要
食用塩のための農薬等に関する一斉分析法を固相抽出、LC/MSにより開発した。塩試料から農薬等を抽出するため、pHを3.5とした試料溶液を10%EDTAで前処理したスチレンジビニルベンゼンメタクリレートカートリッジに通液し、回収率70%以上、変動係数20%以下であった。溶出液はアセトニトリルであるが、測定に際してはその80%を水に変換することで、シャープなピークが得られた。ベノミル類は分析中に代謝してしまうが、ベノミル類の合計として定量することができた。すべての農薬等の定量下限は0.01mg/kg以下であった。この方法で33の農薬等が分析できた。既報のGC/MSによる一斉分析法と合わせると塩事業センターが選定した162の農薬等のうち、128の農薬等が分析できることとなった。
No.4
題目 高速液体クロマトグラフ-誘導結合プラズマ質量分析装置を使用した食用塩に含まれるヒ素の形態別分析法
筆者 古賀 明洋、野田 寧
投稿先 日本海水学会誌 64(5)、p.291-296(2010)
概要
食用塩に含まれるヒ素の形態を明らかにするため、HPLC/ICP-MS法の適用を検討した。溶離液の希釈や塩化ナトリウム濃度がクロマトグラムへ与える影響を検討し、無機態であるAs、Asおよび有機態であるアルセノベタインを明確に分離し、食用塩に含まれるヒ素の形態を明らかにすることができた。測定下限は、各成分とも、0.2g/100ml塩化ナトリウム溶液中で0.5μg/Lであり、塩に換算すると0.25mg/kgであった。
過去の調査でヒ素が検出された市販食用塩の分析に、本法を適用したところ、ヒ素は主に無機態のAsとして含まれていることが確認された。
一方、ヒ素化合物は、200℃以上に加熱されると、無機態のAsに変化することが確認された。これより、塩の原料にヒ素化合物が混入した場合、乾燥等の加熱工程を経ることによって、Asに変化する可能性が示唆された。
No.5
題目 高速ろ過装置における至適操作条件設計法の検討
筆者 渕脇 哲司、麻田 拓矢、吉川 直人、長谷川 正巳
投稿先 日本海水学会誌 64(5)、p.305-312(2010)
概要
これまでに開発した高速ろ過装置の至適操作条件の設計手法を構築することを目的として、凝集剤添加濃度、ろ過速度、円筒カラム層高をパラメータとした装置における圧力損失の経時変化シミュレーションを実施した。
高速ろ過装置における最適な凝集剤添加濃度は、濁質の種類、量によって変化するが、添加濃度を適切な値に設定することにより、装置内で生じる凝集フロックの捕捉量と圧力損失との関係は直線で相関されることが明らかとなった。
そこで、濁質の種類、量が異なる海水を対象に、種々凝集添加濃度、ろ過速度、円筒カラム層高を変化させた実験を実施して、そこで得られたろ過特性をケークろ過における圧力損失の基礎式に適用することにより、圧力損失の経時変化をシミュレーションする手法を明らかにした。本法により、圧力損失の経時変化を良好に推定でき、凝集フロックの捕捉によって減少するろ過速度、円筒カラム層高の減少をシミュレーションすることも可能とした。
これより、濁質量の異なる製塩2工場において、所望の性能としてろ過時間11 h以上を確保し、その間のろ過海水の水質(FI値)が3.5以下になるような凝集剤添加濃度から、ろ過速度、円筒カラム層高を設計し、その検証試験を実施したところ、上記の性能を満足でき、本シミュレーションが有効なことが示唆された。
No.6
題目 イオン交換膜法かん水の濃縮過程における溶液物性推定モデルの検討
筆者 正岡 功士、加留部 智彦、中村 彰夫
投稿先 日本海水学会誌 64(6) p.343-352(2010)
概要
イオン交換膜製塩法のかん水、その濃縮液に相当する溶液の、密度、粘度、電気伝導率および屈折率と、組成の関係について検討し、これらの溶液物性の推定モデルを構築した。いずれの溶液物性値の場合も、溶液物性値は濃縮の指標であるマグネシウムイオン濃度の増加とともに変化し、その挙動は未飽和領域、塩化ナトリウム析出領域および塩化カリウム析出領域ごとに異なった。また、マグネシウムイオン濃度と各溶液物性値との関係は溶液の温度とかん水の塩化ナトリウム純度(純塩率)の影響を受けた。純塩率,温度およびマグネシウムイオン濃度を説明変数とすることにより、各溶液物性値の推定モデルを作成した。本モデルを用いれば、温度50~90℃、純塩率87~93%、マグネシウムイオン濃度5.7%以下の範囲において、イオン交換膜製塩法のかん水、その濃縮液の各溶液物性を精度よく推定できることが示唆された。
No.7
題目 漬物製造における脱水浸透挙動のモデル化(第1報) -カブを対象とした脱水浸透モデルの検討-
筆者 中山 由佳、長谷川 正巳
投稿先 日本海水学会誌 64(6)、p.355-359(2010)
概要
漬物製造の操作設計手法を確立することを目的として、脱水浸透挙動のモデル化を検討した。実験では、種々の濃度のNaCl水溶液を漬け液としてその中にカブを浸漬し、その時の脱水浸透挙動について検討した。浸漬過程において、水および塩化ナトリウムの移動速度はカブと漬け液との塩化ナトリウム濃度差が大きいほど高くなった。最終的に、両者の濃度が同一になるとそれらの移動は停止した。これらのことから、脱水浸透挙動の支配的な推進力はカブ中と漬け液との塩化ナトリウム濃度差であると考えた。そこで、漬け実と漬け液のNaCl濃度を説明変数とした脱水浸透に関する物質移動式を作成した。その結果、本移動式における速度係数はほぼ一定値で表された。また、本移動式を用いて任意の時間のカブのNaCl濃度を推定した結果、実測値と良好に一致した。
No.8
題目 塩化ナトリウム濃度による漬物の漬け上がりの推定
筆者 眞壁 優美
投稿先 日本海水学会誌 65(1)、p.42-46(2011)
概要
ダイコン、カブ、およびキュウリを対象に、塩の脱水浸透作用に伴う野菜の食感変化について検討した。モデル試験においては、弾性率は、脱水率25%以上、野菜中の塩化ナトリウム濃度1%以上においてほぼ一定となり、弾性率比は、野菜の種類によらず概ね0.3であった。検証試験においては、野菜中の塩化ナトリウム濃度1%以上において、弾性率はほぼ一定、弾性率比は概ね0.3であった。以上の結果から、野菜中の塩化ナトリウム濃度が1%以上になった時が、漬物の漬け上がりの一つの目安であり、漬け上がり時の食感は、生の野菜の物性を測定することにより予測することが可能であることが示唆された。