研究報告

平成14年度研究報告

海水総合研究所 研究報告 第4号(2002)

題目 研究者 発表先
1 塩中のヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸塩の分析 古賀 明洋、
新野 靖
P2
2 全反射赤外射減衰法による自動測定システムを用いる製塩工程試験 眞壁 優美、
吉川 直人
P8
3 全反射赤外減衰法による高濃度塩類混合溶液組成測定のための検量行列簡易補正法 眞壁 優美、
吉川 直人、
永谷 剛、
久田 知之*、
石橋 照也*
*:赤穂海水(株)
P12
4 光学式変位計と赤外線水分計を用いる粉粒体粒径および水分インライン測定法 吉川 直人、
眞壁 優美、
山田 文彦*1、
小川 襲*2
松本 幹治*2
*1:ダイヤソルト(株)、
*2:横浜国立大学
P18
5 NaCl流動層型晶析装置の溢流溶液中に懸濁した微結晶の部分溶解操作による粒径制御 長谷川 正巳、
豊倉 賢*
*:早稲田大学
P22
6 放射線グラフト重合法によるイオン交換膜の合成 益子 公男、
大久保 和也、
大高 尚
P27
7 粒径分布解析法の検討 鴨志田 智之、
長谷川 正巳
P41

研究報告要旨

No.1
題目 塩中のヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸塩の分析
-ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸鉄(Ⅲ)の分離分析法-
筆者 古賀 明洋、新野 靖
掲載頁 P2
要旨
食用塩に含まれるヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸イオン(フェロシアン化物イオン)の定量分析は、硫酸鉄(Ⅱ)溶液を加えて生成したプルシアンブルー(以降、PB)の吸光度を測定する方法で行う。本方法の定量下限は1mg/kgであるが、それよりも低濃度の分析を行う際には、塩化ナトリウム存在下では水溶性PBが生成し、ろ過フィルターの水洗浄時に溶出して回収率が低下するため、十分な精度が得られない。しかし、硫酸鉄(Ⅱ)溶液に塩化鉄(Ⅲ)溶液を加えて(5×10-3M)反応させることにより、水溶性PBを生成させることなく濃縮分離を行うことができ、この試料の蛍光X線法および吸光光度法のそれぞれの検量線はNaCl濃度に影響されず、R2は0.99以上と良好な直線関係が得られた。本法を用いることにより従来法で1mg/kgであった測定下限を0.1mg/kgまで下げることができた。
No.2
題目 全反射赤外減衰法による自動測定システムを用いる製塩工程試験
筆者 眞壁 優美、吉川 直人、永谷 剛、久田 知之*、石橋 照也*   *:赤穂海水(株)
掲載頁 P8
投稿先 分析化学 50(11)、p747(2001)
要旨
製塩工程の自動化、省力化を目的として、製塩工程に適用可能な赤外全反射減衰法による晶析缶の缶内液組成測定について検討を行い、缶内液組成自動測定システムを構築した。本自動測定システムは缶内液を一定割合に希釈するための自動希釈機能および2種類の校正溶液の吸光度差を用いて簡易に検量線を校正する自動校正機能を持つシステムである。本自動測定システムを用いて製塩工場の缶内液組成測定の工程試験を実施した。その結果、缶内液中の塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム濃度が実用上十分な精度で安定的に自動測定可能であり、特に塩化マグネシウムについては高精度に測定可能であった。また、自動測定システムの工程適用における問題点はすべて解消することができ、40時間トラブルなしの連続自動測定を実現し、システムの信頼性が確保できた。
No.3
題目 全反射赤外減衰法による高濃度塩類混合溶液組成測定のための検量行列簡易補正法
筆者 眞壁 優美、吉川 直人、久田 知之*、石橋 照也*   *:赤穂海水(株)
掲載頁 P12
投稿先 分析化学 50(11)、p759(2001)
要旨
本研究では重回帰分析法を用いる組成測定法において2種類の校正試料を用いて検量線を短時間で簡易に校正する方法について検討した。本校正法は2種類の校正試料の吸光度差を用いて測定試料の吸光度差を補正する方法である。缶内液相当溶液を10/7倍希釈した溶液を測定試料として塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化カリウム、塩化ナトリウムの各成分についても校正を行った結果、校正を行った場合の誤差は検量線とほぼ同等であった。また、校正なしの場合と比較して校正を行った場合の方が平均誤差の平均値は小さくなった。
以上の結果より、本校正法は多数の検量線試料を用いて重回帰分析法により作成した検量線を2点の校正試料により短時間に簡易に校正する方法として有効であることが分かった。また、本校正法は固有の赤外吸収を持つ多成分系の試料の組成測定を行う場合や赤外光以外(近赤外光、紫外可視光、蛍光等)の分光光度法による分光データを用いて組成測定を行う場合においても適用が可能であると考えられる。さらに、重回帰分析法以外の多変量解析法(PLS法等)により作成された検量線に対しても応用が可能であると考えられる。
No.4
題目 光学式変位計と赤外線水分計を用いる粉粒体粒径および水分インライン測定法
筆者 吉川 直人、眞壁 優美、山田 文彦*1、小川 襲*1、松本 幹治*2   *1:ダイヤソルト(株)、*2:横浜国大工学部
掲載頁 P18
投稿先 化学工学論文集 28(3)、p354(2002)
要旨
光学式変位計と赤外線水分計を用いる塩製品粒径および水分のインライン測定法について検討した。本測定法を製塩工程の平均粒径400~1,000μm、水分0.9~1.6%の塩製品測定に適用した結果、平均予測誤差は平均粒径について31μm、水については0.045%と良好なインライン予測が実現できた。このため、本測定法は粉粒体工業の工程管理に適用可能であることが示唆された。
No.5
題目 NaCl流動層型晶析装置の溢流溶液中に懸濁した微結晶の部分溶解操作による粒径制御
筆者 長谷川 正巳、豊倉 賢*   *:早稲田大学理工学部
掲載頁 P22
投稿先 化学工学論文集 28(3)、p354(2002)
要旨
光学式変位計と赤外線水分計を用いる塩製品粒径および水分のインライン測定法について検討した。本測定法を製塩工程の平均粒径400~1,000μm、水分0.9~1.6%の塩製品測定に適用した結果、平均予測誤差は平均粒径について31μm、水については0.045%と良好なインライン予測が実現できた。このため、本測定法は粉粒体工業の工程管理に適用可能であることが示唆された。
No.6
題目 放射線グラフト重合法によるイオン交換膜の合成
筆者 益子 公男、大久保 和也、大高 尚
掲載頁 P27
要旨
イオン交換膜の製造コストの低減策を検討した。現行実用膜より合成工程の簡略化ができコスト低減が見込まれる放射線グラフト重合法について、基材膜の種類、放射線照射量、溶媒および架橋剤の種類と濃度、反応温度等最適合成条件を検討した。その結果、HDPE(インフレーション製膜法)を基材膜として、電子照射線200KGy、反応溶媒は陽イオン交換膜(St:DVB:シクロヘキサン=36:4:60)、陰イオン交換膜(CMS:DVB:ベンゼン=76:4:20)および反応温度50℃の条件で合成した膜の性能が最も優れていた。開発膜の性能は目標とした実用膜と比較しCl電流効率、電気抵抗および破裂強度はほぼ同程度の値を示したが、膨張率は2~3倍高く、劣っていた。また、海水濃縮試験の結果、実用膜に比較しやや濃度の高いかん水が得られたが電流密度が高くなるに従い電流効率が低下する傾向が見られた。
No.7
題目 粒径分布解析法の検討
筆者 鴨志田 智之、長谷川 正巳
掲載頁 P41
要旨
塩の粒径分布表示法として良く用いられる正規確率分布法、対数正規確率分布法およびRosin-Rammler分布法について、表計算ソフトを用いた解析法および確率分布グラフの作成法を提案した。 また、製造法による製品結晶の粒径分布解析結果の差異によりせんごう塩については正規確率分布法が、粉砕塩についてはRosin-Rammler分布法がそれぞれ好適であることを見出した。