Salt Guide

微量ミネラルの薬・毒分岐点

ミネラルと言えば塩。この塩というミネラルは生命維持になくてはならないものです。また、汗や尿として一定量の塩分が失われますので、毎日これを補給する必要があります。生命の営みに重要なミネラル、今回はミネラルのなかでも、微量ミネラルについて考えてみましょう。
人が生きていく上で必要かつ他では代用できないミネラルを必須ミネラルと言い、これには、次のようなものがあります。

必須ミネラル
主要ミネラル ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、塩素など(塩はナトリウムと塩素で構成)
微量ミネラル 鉄、クロム、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、モリブデン、コバルト、砒素など

ところで、他の栄養素についても言えることですが、微量ミネラルにも「薬・毒分岐点」が存在することを忘れてはなりません。すなわち、不足しても摂り過ぎても具合が悪いということです。例えば、微量ミネラルのなかには砒素ミルク中毒事件の砒素も含まれていますし、イタイイタイ病のカドミウムもごく微量ではありますが必要だと言われています。多く摂取しても困りますが、不足しても困るということから"重金属だってヘルシー"と報道されたこともあります。食用塩の国際規格案では表1のようにこれらの上限値が示されており、これらのミネラルの多寡は塩の安全性を示す指標となっています。

表1.食用塩の国際規格案の概要
NaCl純度 97%以上(添加物を除く乾物基準)
水銀 0.1mg/kg以下
砒素 0.5mg/kg以下
カドミウム 0.5mg/kg以下
2mg/kg以下
2mg/kg以下
(注)国連食料農業機関(FAO)と世界保健機構(WHO)が合同で検討している国際規格案

しかし、繰り返しになりますが、文字どおり微量には必要であるということです。厚生労働省の「第6次改定日本人の栄養所要量(平成12年度改定)」では図1のように従来の栄養所要量(A)に加え、許容上限摂取量(B)が設定され、欠乏の危険性と同時に過剰の危険性を念頭に置いたものとなりました。表2に微量ミネラルのA、B値を示します。例えば表中でモリブデンの栄養所要量は 0.030(mg/日)ですが、0.030(mg)とは1(g)の3/100,000ですから、いかにわずかなものであるかおわかりいただけるものと思います。ほんのわずかな量ですが、モリブデンは何種類かの酵素の構成成分で、生命維持になくてはならないものです。なお、モリブデン摂取量は 0.135~0.215(mg/日)と推定され、栄養所要量を満たしています。
このように、微量ミネラルはバランスの良い食事を心がけることで充分に摂取できるものです。

食事の摂取基準
表2.微量ミネラルの栄養所要量および許容上限摂取量
ミネラル 栄養所要量(mg/日) 許容上限摂取量(mg/日)
10 40
亜鉛 12 30
ヨウ素 0.150 3.0
1.8 9.0
マンガン 4.0 10
クロム 0.035 0.250
セレン 0.055 0.250
モリブデン 0.030 0.250
(注)厚生労働省「第6次改定日本人の栄養所要量 食事摂取基準」では年齢別男女別に定められていますが、本表では、成人男性(39才から49 才)の数値を示します。

ご承知のように、塩は海水を濃縮することによりつくられます。基礎的な食品である塩は安全性が第一。品質管理が行き届き、衛生的な製造設備でつくられた安全性の高いもの、すなわち最低限食用塩の国際規格案を満足する重金属類の少ないものを選択することが大切です。