Salt Guide

塩と微量ミネラル

海水には地球上の全ての元素が溶け込んでいますが、その濃度は表1に示すように極めて低いものです。

表1.海水中の微量元素
ミネラル 海水中の濃度(㎎/㎏)
30
亜鉛 350
150
マンガン 20
クロム 210
出典:野崎義行「最新の海水の元素組成表(1996年版)とその解説」

海水中で2番目に多い塩でも(1番目は水です)これを1kg得るためには約50kgの海水が必要となります。ちなみにイオン交換膜を用いた塩づくりでは、この約3倍の150kgの海水が必要です。
では、海水50kgをそのまま濃縮し、塩1kgを得る過程で、表1に示した微量ミネラルがどのようになっているのかを見てみましょう。

ご承知のとおり、海水を濃縮していくと塩が結晶となり析出してきます。図1に示すように50kgの海水を濃縮し、約5kg程度になると塩が析出しはじめ、さらに濃縮すると約1kgの塩が得られ、残りは約1.5kgのにがり(液体)となります。
結晶には、純粋なものになろうとする性質がありますから、ここで析出した塩は「純塩」、金で言えば純金(24金)で、微量ミネラルの大部分はこのにがりと呼ばれる液体の中に含まれることになります。塩という粒子が保持できる液体の量は約2%程度で、これ以上になると保持できず結晶と液体が分離してしまいます。

図1.塩づくりの模式図 塩づくりの模式図
図1で得られた塩(図中 *)に含まれるミネラル量の推定値を表2に示します。日本人が1日に摂取する食塩の量は約12gですが、これに含まれる僅かなにがりに含まれる微量ミネラルは極めて僅かなものです。
ちなみに、結晶に残ったにがりは、図2に示すように主に結晶の表面に付着しています。

表2.図1で得られた塩に含まれる微量ミネラル
ミネラル 塩12g中の量(mg)
0.000016
亜鉛 0.000039
0.000040
マンガン 0.0000016
モリブデン 0.000080

図2.塩の結晶(イメージ) 塩の結晶(イメージ)
ところで、実際の塩にはどれくらいの微量ミネラルが含まれているのでしょうか?代表的ないくつかの製法でつくった塩の分析値の一例を表3に示します。製法によって若干異なりますが、表2と同様に極めて僅かな量しか含まれておらず、1日に摂取する塩から得られる微量ミネラルはインスタントコーヒー一杯分(2g)にも満たない量です。

表3.塩の中の微量ミネラル量
ミネラル 塩の微量ミネラル(mg/12g) インスタントコーヒー(mg/1杯) 栄養所要量(mg/日)
0.00016から0.00105 0.0600 10
亜鉛 0.00004から0.00013 0.0080 12
0.00005から0.00143 0.0006 1.8
マンガン 0.00032から0.01169 0.0380 4
モリブデン 0.00001から0.00026 - 0.03
(厚生労働省「第6次改定日本人の栄養所要量-食事摂取基準」では年齢別男女別に定められていますが、本表では成人男性(30~49才)の数値を示します。

塩というミネラルは日々補う必要がありますから安心・安全が第一。塩の安全性は、その起源(原料)と結晶表面に付着する物質の安全性によると考えられますので、塩づくりの過程で生じる"残留物"ともいえる"にがり"を過大に評価するよりも、バランスの良い食事を心がけたいものです。