Salt Guide

冬の交通安全のMVP、塩

冬の交通安全のMVP(Most Valuable Particle)塩!

塩事業法で定められた経過期間最後の冬も融氷雪用の塩の安定供給が確保され、大きな混乱もなく冬の交通安全が図られました。ところで、積雪寒冷地では道路の除雪や凍結防止対策に大量の凍結防止剤(融氷雪剤)が使用されていることをご存知ですか。代表的なものは下表に示す通りですが、水溶液の氷点降下現象を利用して、湿った路面が凍ることを防ぎます。なかでも塩は凍結防止効果が高く、作業性、経済性にも優れているため、最も多く利用されています。平成3年4 月、スパイクタイヤの使用が禁止されて以降、その使用量は年々増大しており、ここ数年の融氷雪用の塩消費量は年間250~350千トンとなっています。

融氷雪用の塩消費量の推移
年度 S60 H1 H5 H10 H12
消費量 72 78 150 236 351

塩の散布量は気温、路面状況により異なりますが、路面1平方メートル当り20~30gが目安となります。ただし塩が有効であるのは-10℃ぐらい迄で、それ以下では更に氷点降下の大きい塩化カルシウム等の登場となります。なお塩の特長は氷雪層に対する貫通力が大きいことで、氷雪を全部溶かすことなく路面から剥がして滑りを防止します。
世界的にみても道路の融氷雪用に大量の塩が使用されており、例えば米国では毎年1.5~2千万トンの塩が消費されています。このため、道路に散布する塩の環境への影響について欧米では議論されていますが、我が国は降水量が多いため道路の排水溝設備を完備することで、周辺土壌への影響はないと考えられています。なお道路用と言えどもゴミ焼却場から生出する塩など、重金属等の有害物質を含むおそれのある塩は環境汚染につながりますので使用できません。
最後に塩と言えば金属腐食が気がかりですが、一般的には塩化物系は腐食性は強いものの安価で、非塩化物系はその逆となります。3%溶液に鉄片を反復浸漬する腐食試験によると、塩の腐食性は非塩化物系のものに比べれば大きいものの、塩化物系のなかでは小さいことが確認されています。正に塩は融氷雪のMVP (最も価値のある粒子)と言えましょう。

区分 名称 化学式 氷点 溶解度 特徴 価格 腐食性
塩化物系 塩化ナトリウム NaCl -21度 26.3% ・速効性やや低いが持続性あり
・潮解性が小さい
・JHでの使用が多いが、国、都道府県でも増えいている
100 100
塩化カルシウム CaCl2・2H2O -54度 37.3% ・速効性高く、低温で使用可能
・潮解性大きい
・散布溶解後、路面の乾燥が悪い
150 350
塩化マグネシウム MgCl2・6H2O -32度 34.6% ・速効性やや高く、低温で使用可能
・潮解性大きい
・使用量は少ない
150 500
非塩化物系 尿素 CO(NH2)2 -12度 40.0% ・速効性なし、低温では効果なし
・潮解性小さい
・空港の滑走路等、腐食を嫌う所で使用
500 50以下
プロピレングリコール CH3CH(OH)
CH2OH
-58度 水に易溶 ・速効性高い・大量散布ではすべり易くなる
・空港で機体の除氷雪に使用
600 1以下
CMA Ca(CH3COO)2・
Mg(CH3COO)2
-10度から-21度 水に難溶 ・速効性なし、低温では効果なし
・溶け難く持続性あり
・酢酸臭あり、密閉保存を要す
・使用後、路面がヌルヌルしすべり易い
550から1000 1以下
(注)価格、腐食性とも、塩化ナトリウムを100とした時の概算比較。数値が大きいほど価格、腐食性が高いことを示す。

塩による氷雪化路面の滑り防止機構

氷雪上に撒かれた塩(1)は塩水量を増しながら氷層を垂直に貫通し(2~3)、やがて路面と結着していた氷を溶かし路面に広がっていき(4)、路面から氷層を剥離させます。更に走行車輌によって氷雪層は細片化され、容易に道路の側面に排除されます。